現在は、海外ノマド兼フリーランスとして働いていますが、社会人時代は専門商社で3年間働いていました。
専門商社を志望したのは、「なんとなく海外で働ける」という気持ちが理由です。
専門商社で働くメリット・デメリットってなに?
なかなか学生にとって把握しにくい専門商社。
とはいえ、毎年人気の就職先に選ばれているほか、「年収が高い」、「激務」、「国際色豊か」、「頭が良い」なんてイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では、専門商社で働いていたわたし目線で、「専門商社のメリット・デメリット」をご紹介します。
本記事のポイント
・専門商社に就職するメリット・デメリット
・専門商社に入社して分かった魅力
・専門商社に入るためには?
この記事のRecord
専門商社に就職するメリット・デメリットとは?
冒頭でも書いたとおり、わたしは専門商社で働いていました。
商社には、総合商社と専門商社の2種類ありますが、前者はいろんな商売に絡む、後者は特定の業界に関わるといった違いの理解で問題ありません。
業界研究向けに総合商社と専門商社の違いは、また別記事で解説します。
専門商社のメリット・デメリットとは?
専門商社と言っても扱っている商品はさまざまです。
化学系・食品系・機械系・エネルギー系・部品系....挙げればキリがないほど専門商社は業界が幅広いのが特徴で、自分の好きな分野や将来的に安定した業界などを狙えます。
わたしは、「機械系」の専門商社で働いていました。
専門商社としてのメリット・デメリットはもちろん、機械系専門商社のメリット・デメリットを含めながら、解説していきます。
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専門商社に就職するメリット
専門商社に就職するメリットは、主に以下の3つです。
人によって感じるメリットも挙げればキリがありませんが、専門商社全般として取り上げた場合のメリットをご紹介します。
①専門的な知識を学べる
②比較的内定を取りやすい
③メーカー・競合他社に転職しやすい
メリット①:専門的な知識を学べる
専門商社に就職するメリットの1つ目は、専門的な知識を学べることです。
特定の業界に属する企業に対して、商品を卸すことがメインの仕事となるため、業界全体に詳しくなければなりません。
また、扱う商品の知識を学ぶ必要があります。
仕事を通して知識を吸収できる
わたしが所属していた部署では、「紙関係の業界」に欧米の機械を輸入、販売を行っていました。
「紙」と言っても、一般的な事務用紙だけでなく、食品を包む紙、段ボール、ティッシュ、トイレットペーパーなどさまざまです。
入社した段階から、紙の作り方から、それぞれの紙の違い、紙を作る工程でどのような機械が必要であるかを徹底的に学んでいました。
また、文系でありながら、機械の仕組みについても一から学び、2年ほど経ってようやく、顧客との会話についていけるようになりました。
仕事である以上、知識を身につけなければなりませんが、仕事を通して専門的な知識を吸収していくのが、刺激になるはずです。
メリット②:比較的内定を取りやすい
専門商社という名前を聞くと、「内定を取りにくいのではないか」、「優秀な人しか採用されないんじゃないのか」、「有名大卒が最低条件」などのイメージを持たれる方もいるかと思います。
実際、就職後に、ほかの業種の方から、商社というだけで高い評価を頂いていました。
専門商社は狙い目
専門商社が狙い目である理由は、相手企業が欲しい人材を把握しやすいことです。
たとえば、広告業界(7~8社受けて全落ちしました)だと、会社が求めている具体的な人材を把握しにくいのが難点です。
何を目的にしているのかよくわからないグループワークや課題、面接での意味不明な質問(あなたを動物に例えると?、おすすめの○○を教えてください)など。
なにをどうすれば、企業が欲しい人材に近づけるかがよくわかりませんでした。
専門商社が求めている人材は明確
説明会や社員さんの話を聞いているなかで、専門商社が求めている人物像は把握しやすかったです。
「常に新しいビジネスを作っていきたいというチャレンジ精神」、「圧倒的なコミュニケーション力で顧客とのつながりを作れる人材」、「業界に対しての興味や好奇心を感じられる人材」などなど。
ほかの業界の面接と比べても、専門商社は、志望動機・やりたいこと・こういった場合どうする?といった一般的な質問が多く、ひねくれた質問はありませんでした。
わたし個人的な意見ですが、専門商社の採用を受けているなかで、ストレスに感じることもなく、人事の方からのサポートも丁寧だった印象があります。
専門商社で働きたいけれど、入社難易度が高く、自信がないという方でも、専門商社全体が求めている人物像に合わせるだけで良い結果を得られる可能性を高められるはずです。
メリット③:メーカー・競合他社に転職しやすい
総合商社も同じですが、メーカーや競合他社に転職しやすいのもメリットです。
実際に、わたしが働いていた専門商社から、担当していた業界の企業に転職していった例も少なくありません。
また、すでに知識を身につけていることや、人脈を持っていることからも、競合他社への転職も可能です。
入社した会社の環境が合わなかった場合の転職に備えて、とりあえず専門商社に入社しておくのも良いかもしれません。
スキルも活かしやすい
専門商社で働いて得た知識やスキル、人脈を活かして、転職することもできます。
専門商社で働くことで、その先の選択肢もかなり広がります。
顧客との商談で得たコミュニケーション力や解決能力で、コンサルタントへの転職。
外国企業との交渉力で得た語学力で、外資系への転職
コネクションを活かして、ライバル企業や、提携企業への転職
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専門商社に就職するデメリット
専門商社に就職を検討している方は、デメリットに関しても気になるのではないでしょうか。
人それぞれ感じるデメリットも異なりますが、以下の3つのデメリットを取り上げました。
①:総合商社と比較すると年収が低い
②:担当する業界で雰囲気が異なる
③:日常的なトラブルは当たり前
デメリット①:総合商社と比較すると年収が低い
冒頭で説明したとおり、商社には、5大商社と呼ばれる総合商社と、専門商社の2種類があります。
同じ商社といえど、規模の大きさの違いから、「年収」にも大きな違いが出てきます。
たとえば、総合商社の1である三菱商事では、残業代や手当を含めると30歳で年収1,000万円を超えると言われています。
一方、専門商社は会社によって異なりますが、わたしの会社では30歳で、せいぜい500万円ほどです。
ほかの業界よりは高給
総合商社と比較すると低めに感じやすい年収ですが、ほかの業界と比べると専門商社もそれなりの給料です。
日本の平均年収が440万円ほどであるなか、30歳で年収500万を稼げる仕事はそこまで多くありません。
商社の給料と聞くと、総合商社の高給をイメージしやすいですが、専門商社も十分に高い給料をもらえるので安心してください。
デメリット②:担当する業界で雰囲気が異なる
社会人になるまで、よく分かりませんでしたが、業界にはそれぞれ特有の雰囲気があります。
たとえば、わたしが担当していた紙業界は、昔からの伝統を強く守るため、柔軟性に欠けている点が気になりました。
ほかの業界だと、鉄鋼関係は、顧客と商社の上下関係がはっきりと出ており、顧客に対して強く出にくいのが大変だと聞いています。
さらに、会社によっても社風が異なるため、仕事をし始めないと雰囲気はなかなか分かりません。
説明会やOB・OG訪問などで取引先の業界を質問してみるのも良いと思います。
デメリット③:日常的なトラブルは当たり前
専門商社は、トラブルが日常茶飯事です。
とくに、わたしが務めていた会社は機械商社であるため、「機械が故障した」、「急に動かなくなった」、「早くメーカーに連絡して」といったクレームが週に何回か起きていました。
しかも、目で見ないとわからないため、状況を見るだけのために飛行機を使って出張することも...
個人的に、機械の専門商社に就職したのは、トラブルの発生率を考えると失敗だったと感じています。
どの商社でもトラブルは起こる
機械専門商社にトラブルが発生しやすいイメージを植え付けてしまいましたが、ほかの商社でもトラブルは同じように起こります。
たとえば、化学専門商社に勤めている友人は、「正確な個数が輸入されなかった」、「異なる種類の商品が届いた」、「納期が守れていない」といったトラブルがあるようです。
機械商社ほどではありませんが、商社にトラブルは避けられないと思ってください。
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確実に専門商社に入社するための準備とは?
メリット・デメリットを踏まえて、専門商社で活躍してみたいと感じる方もいれば、このまま専門商社を志望して大丈夫かな?と感じる方もいると思います。
とはいえ、少しでも専門商社に興味を持った時点で、「早め」に準備をすることが大切です。
わたしは就職活動解禁と同時に、専門商社について調べ始めたため、あまり準備をできなった点を反省しています。
そこで、就職活動の準備で失敗した経験から、「専門商社に入るためにしておくこと」をまとめました。
準備①:学生時代にスキルや知識を磨く
準備②:専門商社の働き方を理解する
準備③:信頼できる就職サイトとエージェントを探す
準備①:学生時代にスキルを磨く
専門商社に就職するための準備の1つ目は、「学生時代にスキル」を磨いておくことです。
海外企業との連絡に欠かせない「英語」や「中国語」は、学生時代にある程度出来ておかないと苦戦します。
また、顧客や取引先と交渉を行うため、デベートスキルや問題解決スキルを養っておくと大きなアピールになるはずです。
新しいチャレンジをしてみる
どうやってスキルを身につければいいの?と思われる方に、わたしなりのアドバイスをしてみます。
スキルを身につけるためには、「新しいチャレンジをして、経験値を伸ばす」ことが最短です。
わたしは、専門商社に入るための準備はしていませんでしたが、学生時代に台湾で海外インターンをしていました。
広告代理店でのインターンでしたが、「外国人との意見交換」、「語学を活かした業務への慣れ」、「顧客が抱える問題解決への取り組み」を通して、専門商社で戦えるスキルを身につけられました。
のちのち、人事の方に採用した理由を聞いてみたところ、上記の経験と、それに伴うスキルを評価したとのことです。
海外インターンでなくても、自分を新しい環境に移し、努力をしていくことで、自然にスキルも身につくはずです。
≫海外インターンが気になる方は記事はこちらも参考にしてみてください。
準備②:専門商社の働き方を理解する
次に、専門商社の働き方を理解しておくことも大切です。
「入る前と入ったあとのギャップ」によって、会社を辞めてしまう例も少なくありません。
会社の雰囲気を把握するのは難しいですが、専門商社という特有の働き方を事前にしっておくと、面接もスラスラと進めると思います。
専門商社の仕事は泥臭い
スーツケースを持って優雅に空港のラウンジで仕事をするというイメージを持たれる方もいますが、残念ながら正反対です。
顧客とのつながりを何年もかけて作り上げて、小さい物から受注をもらいながら育てていく地味な仕事が大半です。
何回も顧客先に訪問し、新製品の紹介をしたり、展示会でデモをしたり、一つ一つ泥臭く進める必要があります。
また、顧客とメーカー(海外企業)との板挟みになるため、トラブルが起こると怒りの電話もよく来ました。
そんななかでも、1つのプロジェクトをやり終えた達成感は、専門商社でしか味わえない格別な気持ちです。
デメリットも多い専門商社での働き方ですが、自己成長を得たい方にはぴったりな仕事だと思います。
準備③:信頼できる就職サイトとエージェントを探す
最後に、信頼できる就職サイトやエージェントを探しておきましょう。
就職サイトは、リクナビかマイナビを登録しておけばOKです。
より多くの専門商社を見てみたいという方は、以下のサイトも登録しておくと良いかもしれません。また、自分に適した企業を紹介してもらえるエージェントを活用するのも1つの戦略です。
わたしは、専門商社と同時並行で、エージェントにも登録していました。広告代理店を紹介してもらい、結果的に最終面接まで行けた(専門商社で内定が出たため辞退)ので、活用する価値があります。
・キャリタス就活:マイナビ・リクナビに次ぐ規模の大きい就活サイト
・JobSpring:ES対策、企業紹介はもちろん、AIマッチングによる自分に適した会社を見つけられるサービスが強み
・ベネッセi-キャリア:ベネッセコーポレーションが運営する就活サイト。スキルや能力を付けながら、就活に挑めます。
・キャリアチケット:専門のエージェントから自己分析、就活相談やES点添削を行ってもらえます。使ってみるだけでも価値あり。
・第二新卒エージェントneo:第二新卒向けのエージェントサービスを展開。新卒で失敗したけれど、第二新卒で専門商社に入りたい方におすすめ。
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まとめ:専門商社のメリット・デメリットをどう見るかが重要
どの会社・業界にもメリットとデメリットは存在するため、そこまでデメリットをネガティブに捉える必要はありません。
わたしが言いたいのは、メリット・デメリットを踏まえた上で、「専門商社で働くイメージを作れるか」です。
刺激的で、やりがいのある仕事が多い専門商社で活躍するために、学生のころから専門商社での働き方を自分なりに考えてみてください。